日本でも梅雨に入り、もうすぐ雨が降る日が続くと思いますが、皆さんはお元気ですか?
韓国では「雨が降る日はチヂミが食べたくなる」という話がありますので、今回はチヂミの話をしましょう。
日本でも小麦粉の生地にニラたっぷり、薄焼きのニラチヂミは一年中人気ですよね。
でも、韓国のソウルに行くと小麦粉の生地で薄く焼いたニラチヂミはあまり見当たらないです。ニラチヂミは、日本生まれのチヂミかもしれないですね。
チヂミの歴史と韓国での呼び方
韓国は昔から、陰暦の6月は新麦が取れる時で、新麦を使って冷茶や麦を使ったいろんな季節料理を食べます。
チヂミは、韓国では一般的にはジョン(전) と言います。
ジョンとは、鉄板に少量の油をひいて両面を焼く料理の調理法のことです。

お肉のジョン(金裕美韓国料理教室)

魚のジョン(金裕美韓国料理教室)

若かぼちゃのジョン(金裕美韓国料理教室)
この料理の調理法はもっと古くからあったと思われますがはっきりした記録は無く、16世紀くらいから記録に出ます。
様々なジョンは宮廷から庶民まで幅広く、祭の時もよく使われてきました。
今でも家のお祝いや祭の時、法事などに無くてはならない料理です。
ここでは日本の皆さんが分かりやすいようにチヂミと言いますが、韓国では名前が他にもいろいろあります。
まず祭禮、法事の時は牛肝のジョンを南側に置くことから、간남 肝南(カンナム)と言いました。
宮廷では、煎油花 전유화(ジョンユファ)と書きますが、発音は전유어(ジョンユオ)と宮廷らしい優しい発音になるように言いました。
韓国では一般的には전(ジョン)저냐 (シヨニヤ)부침개(フチムケ)부치개(フチケ)、と言います。
そして北の国の平安道では、지짐개(チチムケ)、지지미(チヂミ)と言います。
チヂミと韓国の食文化
チヂミ(ジョン)は、少量の油を入れて両面を焼くため、火が通りやすいように食材を薄く切るか薄めにまとめて焼きます。西洋料理のピカタのようなものからお好み焼きのような物まで、その数も非常に多く100種類以上あります。

韓国で売られているジョン
チヂミ(ジョン)の材料は、野菜、山菜、肉、魚貝でできます。
- シンプルに食材を火に通りやすいように薄めに切って下味をつけて焼く
- 食材をみじん切りにして味をつけ薄めに形を整えて焼く
- 緑豆やじゃがいもをつぶした生地で薄く焼く
- お好み焼きのように焼く
など、調理法も様々です。
小麦粉の生地のうす焼きを、밀전(ミルジョン)と言いますが、小麦粉以外にそば粉、米粉、餅粉、野菜や穀物の澱粉を使う時もあります。
昔から伝統料理にもよく使われた小麦粉は高価でした。しかし朝鮮戦争後米などの食糧が不足していた苦しい時代に、アメリカから小麦粉が大量に入り庶民の食卓に手軽に使われたことから、韓国人も小麦粉の料理が大好きになっています。

韓国で売られているジョン
その中で庶民的な料理のいろんなチヂミは地方の地元の旬の野菜や山菜、家庭にあるキムチや若かぼちゃなど手軽な食材で作れるため、小腹がすいた時やお酒のおつまみとして今でもみんな大好きです。

きのこのジョン(金裕美韓国料理教室)
新麦が取れる陰暦の6月と、6月の梅雨を結びつけて、チヂミを焼く音が雨が降る音と似ているから、雨が降る日はチヂミが食べたくなる。と言う話になったのかもしれませんね。
ニラチヂミの作り方
さて、日本チヂミの定番、ニラチヂミの簡単な作り方をご紹介しましょう。

右:ニラチヂミ 左:キムチチヂミ
私はニラに一年中保存して置けるサクラエビをよく使います。
栄養はもちろん、色や焼く時の香ばしい香りが絶品です。
どうせ食べるなら美味しいものを食べたいですよね〜
材料
- 小麦粉(薄力粉)
- ニラ
- 桜干しエビ
- 卵
- 昆布だし
- 青唐辛子があれば少し(辛いものから辛くないものがあるので辛さを見て)
- サラダ油
作り方
- 小麦粉に卵、だしを入れてダマにならないように混ぜて2〜3時間寝かせる。
- ニラは3〜4センチの長さに切る。
- 1の生地にニラ、干しエビ、青唐辛子薄切り、塩で味をつけて混ぜ合わせる。
- フライパンにサラダ油をひき、中火で熱し3をお玉で流し入れ、薄く伸ばして両面を焼きます、
- 粗熱が取れたら一口大に切り酢醤油またはポン酢で食する。
おいしく作るコツ
- 火加減を強くしすぎない。
- 生地は小麦粉100グラムにだし4分の3カップを目安に。
- 卵は少しだけ入れる(コシが弱くなる)。
- 外側はカリッとなるように焼く(裏返した後、少し油を足します)。
- できるだけ薄く焼く。
雨が降る日だけではなく、いつでも気軽に作れる栄養たっぷりのニラチヂミは、あなたをホッとした笑顔にすること間違いなしですね〜